写真展「躍動」会場でいただいた声

撮影の舞台裏や雑記

写真展「躍動」では、会期中に多くの方からさまざまなお声をいただきました。
作品をご覧になった感想だけでなく、撮影の裏側や、犬たちとの向き合い方、今後の展開についてのご質問もありました。
ここでは、会場での会話や芳名帳に残していただいたコメントをもとに、一部を要約・編集してご紹介します。

「モデル犬はどうやって集めているのですか?」

展示をご覧いただいた方から、「モデル犬はどうやって集めているのですか?」と多くの質問をいただきました。
しかし、今回展示した作品の多くは、実際に撮影をご依頼いただいたお客様の愛犬たちです。

撮影に慣れているわけでもないですし、モデル活動をしている子でもなく、日常を共に生活している犬たちです。
撮影の中で、その場で見せてくれる表情や動き、そして光や背景の重なりを見極めながら、それらを「存在感」として織り込む表現を大切にしています。

「なぜ犬の写真を撮っているのですか?」

この質問は、展示中に何度かいただきました。
トークショーの中でも話題としてあげさせていただいた私の活動の根幹ともなっているご質問で、大変嬉しく思いました。

犬の写真を撮っているのは、私自身の経験と後悔によるものです。
私自身、幼少期の頃から長い間、犬と暮らしていましたが、当時は写真を撮る技術も機材もありませんでした。
一緒に過ごした時間は確かにあったはずなのに、まともな姿をちゃんと残せている写真は驚くほど少なくて、今でもそのことを後悔しています。

今はスマートフォンで、誰もが簡単にたくさんの写真を撮れる時代です。
その一方で写真を現像してアルバムにしたり、額に入れて飾ったりする機会は少なくなっているようにも感じます。
だからこそ私は、家族として暮らす犬たちを、ただの記録ではなく「写真」として残したいと思いました。データではなく写真という物質にこだわっているのもそこから起因しています。私が今、動物を撮っているのは、かつて自分が十分に残せなかったものを、今の自分の写真で誰かに渡していくことでもあるのだと思っています。

「犬以外の動物も撮っていますか?」

犬以外の動物についてのお問い合わせも数多くいただきました。
猫・小動物の出張撮影も行っています。猫は犬とは違い、マイペースで警戒心が強い子が多いため、ご自宅へ出張させていただき、簡易スタジオセットを組んで撮影をしています。

猫には、犬とは違った美しさや魅力、存在感があります。
現在、ポートフォリオページに載せているのは私と同居している猫メインですが、猫撮影についても徐々に拡張していけたらと思っています。

Cat Portfolio
愛猫たちを撮影した猫のポートフォリオページです。日常のやわらかな表情から、背景を整えた印象的なポートレートまで掲載。猫撮影の雰囲気や表現の参考としてご覧いただけます。

「水中の犬はどのように撮っているのですか?」

今回の展示では、水の中や水面近くで撮影した作品についても、多くのご質問をいただきました。
水中の写真は、普段使用しているカメラを水中撮影用のハウジングに入れ防水仕様にしたうえで、犬と一緒に潜って撮影しています。

撮影場所は、透明度の高い川や水辺です。
ただ、透明度の高い綺麗な水は、その分とても冷たいことも多く、撮影時にはウェットスーツやシュノーケル・水中マスクなどを装着しています。
撮影は決して簡単ではありませんが、水の中で犬たちと同じ時間を過ごしながら撮ることは、私自身にとってもとても楽しい時間です。
ブログ、WaterDog.には活動記を書いていますのでぜひご一読ください。

WaterDog.ブログ記事一覧

水中×犬の新境地。半水中撮影をテーマにした「WaterDog」企画の進捗や試行錯誤の記録。イクティの挑戦と実験が詰まったカテゴリです。

WaterDog.撮影は、グループ撮影(水中)制作セッション(WaterDog.)からご依頼をいただけます。

「写真集はありますか?」

会場で何度かいただいたのが、写真集に関するお声でした。
展示作品を見ていただく中で、

「イクティさんの世界観を一冊の本として通して見たい」
「展示が終わったあとも手元で見返せる形があると嬉しい」
「撮影中の姿とかも記録として残っていたら面白かった」

というような、とても嬉しいご感想をいただきました。
今回の展示では、A1・A2・A3ノビといった、額装で飾られた写真を見ていただくことを大切にしましたが、写真集という形には、撮影背景やその場で大切にしたかった光、もっというと私自身の捉え方をも載せることができたら面白そうです。また、私がどのように撮影に取り組んでいるかも、興味を持っていただけたことが嬉しかったです。普段、ワンオペで撮影をしているのでなかなか自分の姿を撮ることは難しいですが、今後は撮影の姿も残していこうと思いました。

現在、撮影後には小冊子「A Moment to Keep Vol.0」をお渡ししておりますが、いずれもっと拡充させていこうと考えています。

「犬の良さを引き出せている」

「犬が全く警戒していない」
「それぞれの犬の良さが引き出されてる」
「目が綺麗。今にも動き出しそう」

被写体の表情について、嬉しいお声をいただきました。
私の撮影では、オーナー様と一緒になって、犬がその場で見せてくれる動きや表情の、最良の瞬間を捉えることを大切にしています。

それぞれの犬に、それぞれの美しさがありますが、今回の展示を通してそれぞれの魅力の捉え方に興味を持っていただけたことは、とても大きな励みになりました。

「レタッチはしていますか? 撮って出しですか?」

現像・レタッチ(撮影後の編集作業)についてのご質問もいただきました。
私の撮影では、RAWデータにて撮影を行った後、一枚ずつ現像・レタッチを行っています。

これらの工程は、撮影時に感じた光や空気感、被写体の存在感を際立たせるために重要と考えています。
たとえば、目に宿る光、毛並みの質感、背景とのバランス、水の中で生まれる泡に太陽の光が当たって輝く様子など、細かな部分まで調整しています。

特に大きくプリントして展示する場合、スマートフォンで見る写真とは違い、色や明るさ、質感、細部の見え方が作品全体の印象に大きく関わります。そのため、撮影から現像・レタッチ、そしてプリントまでを含めて、ひとつの作品制作として考えています。

「犬の写真展だと思って見に来たけれど、芸術作品として見ていました」

今回、とても印象に残ったのが、

「犬の写真展だと思って見始めたけれど、途中から芸術作品として見ていました」

というお声でした。
ペット写真という言葉の裏には、「かわいい」「記念」「家族写真」という印象があります。
もちろん、それもとても大切な価値です。
けれど私は、その先にある「肖像作品として残す」という可能性も大切にしたいと思って撮影を行なっているので、今回の展示を通して、そうした受け取り方をしてくださる方がいたことは、とても大きな励みになりました。


展示を通して感じたこと

写真展「躍動」は、合計21作品。累計24頭の犬を掲載しました。
実際に撮影させていただいた犬たちのそれぞれの表情を会場に並べました。
それを見た方々から、それぞれの視点で言葉を残してくださったことを、とても嬉しく思いました。。

「犬への常識が変わった気がする。」
いただいた数々の言葉は、今回の展示を通して、よりはっきりと自分の中に残りました。
これからのIkuty Photoの活動としてこの経験を大切にし、次への挑戦へと向かっていきたいと思っています。