光の質を考える
撮影時に、私が一番大切にしているものがあります。
それは「光の質」です。
どんなレンズを使うか?どんな構図で撮るか?
もちろんそれらは重要な因子ですが、作品の印象を大きく左右するのは「どんな光を選ぶか」だと思っています。
犬の毛並み、立体感、目の輝き、温度、気配——
それらはすべて光によって形づくられます。
光を理解するために、よりモデルを輝かせるために、日々考察を続けています。
ストーリーズでちょくちょく上げているのも、概ね実験を重ねています。
(比較検証は半分趣味といってもいいかもしれません・笑)
今回使ったストロボ(以後、発光機)は、AD300 (重量級だが強力)と AD100(取り回し容易な軽量機)の2種類。
さらに、ディフューザーと 42cm ディッシュ、42cm折り畳みディッシュの3つのアタッチメント発行面です。
これらの組み合わせをもって、光量と光質の違いを検証してみました。
技術の話は難しく感じるかもしれませんが、撮影背景や現場での選択について、少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。
なぜこの実験をするのか
犬の撮影って、毎回が異なる環境下での撮影になります。
屋内・屋外・曇天・晴天・逆光・夕景…
毎度異なるその場の光や背景によって「どの光が一番きれいに毛並みや表情を描けるか」を瞬時に判断し、適切に機材設定をすることが重要となります。
今回の実験では、機材ごとの光の違いをしっかり理解し言語化することで、
現場判断での見極めをより強固にできるようになるのが狙いです。
かっこよく言うと、現場で迷わないための 引き出しを増やす実験ですね。
(実験って響き、やっぱりワクワクしますね!エンジニア上がりの私なので特にそう思うのかも!?)
実験条件
・同雰囲気下において実験を実施
・被写体はぬいぐるみ(光の当たり方が見やすい)
・ディフューザーの違いによって周辺をどれほど照らすのかを確認するために、あえて背景スクリーン外も撮影
・カメラ撮影設定は固定。F14、ISO100、SS1/250
・変えるのは「光量」と「修飾子」のみ
これにより、光の違いだけを純粋に比較できるようにしました。
比較①:AD300 + ディフューザー

AD300 のパワーにディフューザーを重ねた組み合わせ。
発光機直の光を弱めつつも、指向性は強めで硬い光質。
・影のエッジが硬い
・コントラストが高め
・輪郭が強く出る
・毛並みの線がくっきりする
自然というよりは、少し主張の強い光です。
明暗をくっきりさせるドラマチックな雰囲気作りには向くけれど、ふわっとした毛並みの立体感は出にくい。

比較②:AD300 + 42cmディッシュ

今回もっとも性格がはっきり出た組み合わせ。
発光機からの直接光ではなく反射光でもって発光面を照らしているため、柔らかい光になる。
・反射光で照らし拡散力がある
・階調が自然で綺麗
・立体感もキレイに出る
・「硬すぎず、柔らかすぎず」の絶妙な光質
ディッシュの指向性と AD300 のパワーが合わさることで最も綺麗に階調が出る。
ただ、かなり重たくなるため取り回しは×

比較③:AD100 + 42cm折り畳みディッシュ

AD100(発光機) はAD300に比べパワーが弱く器が小さい。
しかし軽量のため、取り回しとしては最も機動力が高い。
・暗部が持ち上がらない
・1/1だと無理して発光させているためチャージ時間が必要
・照射領域が狭いため、表現幅が狭くなる
・軽量であるため、機動力は最高!
取り回しがききやすい分、
「光量が足りない=作品の選択肢が減る」
という状況になりがち。

結論:機材自体が持つ性格、そしてその取り回しがものをいう
今回の比較で、改めて実感しました。
・ストロボ(発光機)のパワーは「環境に抗う力」
・ディフューザーやディッシュは「表現の性格を決めるスパイス」
・それによって決定される光の質は、「被写体の気配をどう描くか」
そして、
撮影する犬やシーンによって最適な光は変わってきます。
撮影時、瞬時に「モデル犬を一番きれいに見せる光」を選べるように、こうした比較実験を続けています。
おわりに
同じ犬でも、同じ場所でも、選ぶ光が違えば表情もまったく変わります。
その違いに気づけるようになると、撮影はもっと楽しくなるし、犬たちが持っている魅力を引き出す選択肢も増えていきます。
これからも、このような小さな検証を続けながら、良い瞬間・表情を残せるように撮っていきます。
Ikuto Hirai 名義の作品も、ぜひあわせて見ていただければ嬉しいです。

