「届ける」ために。
写真は、仕上げの状態によって、受け取る印象が大きく変わります。
今回は、これまで制作をお願いしてきたアクリル仕上げの工房と、新たに仕様として検討している額装仕上げ(写真を額に仕上げて飾ること)の工房をそれぞれ確認してきました。
造っている現場を見る重要性
プリント方式や収め方によっても写真の印象や存在感は大きく変わってきます。
一口に「プリント」と言っても、用紙の質感、発色、反射の仕方などは本当にさまざまです。
わかりやすいところでいうと、その表面はマット(艶消し)か、グロスか、といった紙素材の違いもあります。
写真の収め方も、アクリルで閉じるか、額装するか。
たとえば、写真表面に施されるアクリル加工では、アクリルの厚みが変わるだけで、重みや奥行き感、作品としての重厚感が変わってきます。
また、写真をフレームに収める「額装」の世界も奥が深く、木製枠、アルミ枠、マットの有無など、目に入った時の印象付けに関わる選択肢は多岐にわたり、作品の世界観や印象を大きく左右します。
今回訪れた工房のひとつは、普段から制作のやり取りを重ねてきた場所でもあり、実際の作製現場を前に、自然と話も深まりました。
その上で、実際に見て、触れて、比べることで、仕上がりだけでなく、つくり方や管理の考え方にも触れることができました。

工房には、UVプリンターと呼ばれる大型出力機も設置されていました。UVプリンターは、大型看板やサインなどの商業用途を前提とした機材。「プリントを紙で終わらせない」という漸進的な考え方は、自分の作品づくりとも通じる部分があると感じました。
価格と価値のバランスについて
正直に言うと、展示仕様の額装やアクリル仕上げは、決して安いものではありません。
でもそれは、「ブランド料」や「雰囲気代」ではなく、写真を長く、美しく残すための工夫が積み重なっているからです。
量販店で手に入る仕様と展示向けのそれとの違いは、ぱっと見は似ていても中身はまったく別物です。
たとえば、展示用の額装では、反りにくいフレーム素材であったり、写真を傷めにくくするための中性紙マットが使われていたり、より透明度の高いアクリルを用いるなど、「写真を守る・魅せる」ことを前提にした素材が使われています。
持った瞬間の重厚感など、そのディテールの違いについてはもちろんですが、数年後・数十年後も変わらず楽しめるかという時間軸で設計されていることが特徴です。
写真は、撮って終わりではない
私自身、写真は「飾られて初めて完成するもの」だと考えています。
撮影した瞬間だけでなく、その後、日常生活と一緒に楽しむ。
どのような紙を用いて、
どのような仕上げ方法で、
どのように楽しめる形に仕上げるか。
そこまで含めてが一つの楽しみ方であり、表現。
今回の工房巡りを通して、作品の仕上げ方や見せ方について、新たな方向性が見えてきました。
これから準備は本格化していきますが、また一つ、写真に深みを加えられそうな気がしています。

