なぜ「ライティング」にこだわるのか?
撮影者としてずっと思っていたのは、「自然光だけでは届かない世界がある」ということでした。 ロケ撮影は自然な表情を引き出しやすいし、背景も自由。でも、天候や時間帯よって、どうしてもコントロールできない要素が多いです。
その中で、私は、ライティングという武器を手に入れて、「私が描きたい理想の一枚」がグッと現実に近づきました。
ライティング撮影は単なる技術じゃなくて、「写真を自分の手で描く」ための設計図。
そして3灯構成は、その中でも私が拘りぬいた表現としての完成形です。
私の基本構成|3灯ライティングの設計図
この配置によって、正面からやわらかく表情を包みながら、後方左右のリムライトで毛並みの立体感と背景からの分離感を演出しています。
各ライトの役割と意図
- メインライト(正面): 被写体の顔と瞳、毛並みの美しさをしっかりと写す光。120cmのソフトボックスから発せられる優しい光によって、包み込むような柔らかさを演出し、わんちゃんの表情にも安心感を与えます。
- バックライト(左右後方): 光のエッジで毛の輪郭を際立たせ、背景との“分離”を作り出します。とくに単色背景紙ではのっぺりしやすいため、このバックライトがあるかどうかで作品としての説得力が変わります。

ライティング比較|それぞれのライトで何がどう変わる?
ここからは、実際の撮影で比較した3パターンをご紹介します。 それぞれの写真の違いを見ながら、3灯構成がどれほど「作品力」を左右するかを体感してみてください。
① メインライトのみ(中央オクタ)
- 正面からの光で、表情や瞳はしっかり見える。
- ただし背景との分離が弱く、平面的な印象になりがち。ぬべ~っとした感じに見える
👉 この状態でも「記念写真」としては成立。ただし作品としてのパンチは弱い。
② バックライトのみ(ストリップ)
- 被写体の輪郭が際立ち、背景から浮かび上がる印象に。
- しかし顔まわりが暗く、表情が伝わりにくい。
👉 単体では成り立たないが、主役を際立たせる重要な光。(単体でも、シックでかっこいい。)
③ 3灯すべて使用(オクタ+左右ストリップ)
- 顔の印象・毛並みの立体感・背景の分離感、すべてが揃う。
- 写真に深みと“完成度”が加わり、一目で作品として伝わる仕上がりに。
👉 まさに「設計された光」。すべてが役割を持って組み合わされた構成。
実際にモデルわんちゃんを撮ると・・・



私がこれまでに3灯ライティング(イクティライティング)で撮ってきたワンちゃんたちです。
ワンちゃんが背景からくっきりと切り出され、毛並みが艶を持って光り、目にはキャッチライトが入ってキラキラしている。
それぞれの「個性」を捉えられると思いませんか?



実際の撮影現場で気をつけていること
犬の動きと“光の逃げ”を想定しておく
犬は人間より低い位置を動くし、じっとしてくれるとは限らない。だから、光が「当たってくれたらラッキー」ではなく、「どの位置でも綺麗に写る」設計が必要です。 そのために、ライトは少し広めに、でも軸はぶらさない設計を行っています。
背景紙でも「のっぺり」させない
背景紙を用いた撮影は一見簡単そうに見えるけれど、実は一番ごまかしが効きません。
陰影、立体感、分離感──全部がライティング次第。
私はこの3灯構成で、どのような背景紙でも作品として成立する写真を狙っています。
飼い主さんに「プロの空気感」を伝える
ライティング機材は、正直ちょっと圧があります。 でも、それをどう活かすかは撮影者次第。
「お!?今日はなんか本格的だぞ」「ちょっといつもとは違うようだぞ?」
なんてワクワクしてもらえたら幸いです!
ライティング撮影。よくある誤解
- 「自然光の方がナチュラル」? → Yes, but No!
ライティングも自然な見せ方はできます。しかし、「チャームポイントを引き出す」。
この力はライティングが圧倒的です。 - 2灯でいいんじゃない? → Yes, but限界あり!
2灯でも成立はします。でも、わんちゃんの毛並みを輝かせたり、動きのある被写体では、どうしてもモノ足りない瞬間が出てきます。 - 柔軟性こそプロの設計力
「1灯で魅せる」構成にもチャレンジしてきたからこそ、3灯のありがたみがわかります。
また、撮影現場では「足す」判断より「引く」判断の方が大事になることも多いです。
そのバランスを考えたとき、私にとってのベストは3灯ライティングだという結論に至りました。
補足|現在は「お試し価格」での提供中です
この3灯ライティングは、今後正式な価格に移行予定の撮影スタイルです。 Bon-AmiさんやOLIVE HOUSEさんでの撮影会では、現在トライアル期間中としてとってもお得な価格で体験いただけます。 背景紙も、淡黄、ライトブルー、ライトピンク、緑など各種取り揃えておりますので、気になっていた方は、ぜひこの機会にご体験くださいませ。
※価格は予告なく変更になる場合があります。
まとめ|3灯で描くのは“写真”じゃなく“物語”
結局のところ、私がライティングにこだわる理由は「一枚の写真に物語を閉じ込めたいから」。 3灯構成は、そのための最強の道具です。
わんちゃんの表情、そしてその瞬間の空気感。 全部を1枚に閉じ込めて、作品として届けたい。
これが、私が「3灯ライティング」に込めている想いです。
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